夫のとある朝の話
今日から数日間、夫は大事な試験があり、家を出る時間が早い。そのためいつもより早起きする。
わたしもそれに合わせて早起きすることになった。
朝起きて、弁当にご飯を詰めて冷ます。そして夫の朝ごはんの用意をする。
自分の朝ごはんはヨーグルトのみで簡単に済ます。(最近は朝に固形物を食べると胃が痛くなるので…)
ごはんを食べ終わった夫は顔を洗いにいく。その間にわたしは洗濯をまわす。さっき弁当に詰めたご飯が冷めたところで蓋をし、弁当箱をバッグに入れる。保冷剤も忘れずに。
夫は一昨日あたりからそわそわしていた。これからの仕事に関わる大事な試験なので、緊張しているらしい。
今日の朝、その緊張のあらわれが行動に見られた。いつも食べた後の食器をシンクに持ってきて水にさらしてもらうのだが、皿を乗せていたお盆までも水に浸けたのだ。
それを目の前でされたので、わたしは思わず「こら!」と大きな声を出してしまった。
朝から大きな声を出して申し訳なかったのと、お盆が汚くなっていたので洗うのにちょうど良かったと伝えた。
夫自身も、試験前の緊張で動揺しているのを自覚しているらしい。朝でぼんやりしているのも相まって予期せぬことをしてしまう。
これに似たエピソードを夫から聞いた。
夫が一人暮らしをしていたとき、朝ごはんに目玉焼きを作るため卵を割ろうとしたときのことだ。
卵を生ゴミ入れに割り入れ、殻をフライパンに入れてしまったのだ。なんという。
寝起きとはいえ自分はそのような間違いはしたことがないので感心してしまった。
でも、いけないことというよりは面白さのほうが勝ったので、朝から笑わせてもらった。
そんなことを話していたら、緊張していた夫の表情が少し緩んだ気がした。
その後夫は身支度を終えると、いつも通り足早に家を出て駅へと向かった。
ガーベラ太郎